祭りは好きだが、屋台のたこ焼きを食べたり、出し物をみたりと、晴れの雰囲気の中でただ楽しく過ごすだけでは、単なる気晴らしなのであって、物足りなく感じていた。
この本を読んで、それは祭りの一部に過ぎないことがわかり大変満足した。
祭りの本質は「籠り」なのだと、柳田国男は書いていた。
奥三河の花祭りの地域で、もう無くなってしまった「神楽」という祭りは、老齢に達した村人が白い囲いの中に数日籠る。ある時、突然鬼がその囲いの中にやって来て踊り狂い、老人らは感動し、涙を流す者もあるという。そいて籠りから出てくる、というものだったそうだ。
祭りの前に、籠りがあり、言わば死と再生のイニシエーションのような全体が祭りなのである。
すると、遊ぶだけの祭りは欠落があるから、退屈になるのだろうな。
と大いに得心したのであった。
また、祭りの中に過去が、例えば中世が残っているという話も、とても面白かった。
その事は次に書こうと思います。